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ん、誰か呼んだ?


by zo-shigaya

磯田道史さん

 4月5日の朝日新聞に、磯田道史さんのインタビューが出ています。古川某という小僧さんのような風采の大臣が、休眠預金の活用を提案したことへのコメントである。「浪費の殿様、官僚にだぶる」と見出しがつけられているが、これ以上ないくらいの激辛コメントである。

 「今の政府の統治力を疑問視しています。」「江戸の武士は、次第に既得権益の確保に走るようになりました。御用金も・・・殿さまの婚礼費用や御殿建設の場合もありました。古くなったいまの官僚組織は、私には江戸後期の武士にだぶります。消費税増税も休眠預金の話も、お上が使うお金を増やすという意味では同じです。婚礼用の御用金のように無駄な出費にしないか。我々はしっかりと意見していく必要があります。」

 磯田さんが「古くなった官僚組織」と言い切るのは、江戸の組織を引き継いで営々と温存されてきた日本の官僚制度の問題点を、しっかりと踏まえた発言、と推察されます。

 磯田さんは、「武士の家計簿」の中で、江戸幕府や藩政時代からの連綿たる流れを、少し、ちらりと、指摘していました。膨大な資料の裏付けを持っている磯田さんが、これについての論考をまとめていただければ、きっと面白い官僚論になるでしょう。ぜひ拝見したいものです。

 蛇足になりますが、映画の「武士の家計簿」は、磯田さんの著書を原作にしていますが、著書とはまったく別物です。映画は冗長で退屈で、凡作です。こんなものだと思って本を敬遠している人がいたら、本当に残念です。
 映画化されて損しているのが、「武士の家計簿」でしょう。
 
# by zo-shigaya | 2012-04-06 12:03 | 読書メモ

電子書籍-2

日曜日の日経新聞の美術面「名画はよみがえる」に、河鍋暁斎の「暁斎漫画」が掲載されている。もちろん全編ではなく、その10~11葉、通称「富士越しのナマズ」がほぼ原寸大原色版ででている。

これこれ、このような版本を、電子書籍にしてくれれば、いいのである。
江戸の黄表紙は、ほぼこの大きさであるから、ちょうどi-pad の大きさである。

これをページをめくりながら眺めることが出来たら、どんなに楽しいだろうか。

初めて見る人は、日本の文化の素晴らしさ、面白さに、驚嘆するであろう。

所蔵本のダウンロードの料金は、各美術館、所蔵者のお心のままでよい。鑑賞者は、日本国内だけではなく、世界中の美術愛好者であるから、かなりの収入になるのではないか。

何万人にダウンロードさせても、所蔵品に痛みはなく、人件費やらメンテナンスの出費もない。

ほとんどが個人の篤志によって成り立っている個人美術館にとって、些少ながら維持費の足しにはなるだろう。

愛好家にとっては、夢に描いていた眼福の、まさかの実現である。

今こそ、死蔵されている厖大な江戸版本が、私達の、共通な宝となる、そんな日が一日も早く実現されますよう、どなたか、音頭を取っていただけませんか。
# by zo-shigaya | 2011-01-17 14:46

電子書籍

 ものは試し、とアマゾンのキンドルとi-pad を購入して欧文の電子書籍を読んでみる。キンドルの使い心地は誠に良い。長時間の読書にもなんの負担もない。i-padの方は、カラー画面で楽しいが、あまり長い時間の読書には疲れる。どうしても液晶画面の明るさが目に負担を与えるようだ。
 この使い勝手の良さで、日本語の本も読めたらどんなに素敵なことだろうか、と思う。
私の希望は、著作権などの問題でまだ解決がつかない現行の活字本ではなく、日本語の古典の原文を、電子書籍にしていただきたい、ということである。
 例えば、「源氏物語」や「枕草子」といった原典である。紙の本としては影印本として数種刊行されているが、その原典をそのまま電子書籍にするのである。
 あるいは、江戸時代の和書、版本をそのままである。中野三敏先生が「図書」にお書きになった文章によれば、江戸時代の版本のうち、活字になっているものは、数%(正確な数字は忘れてしまいましたが)だそうだ。コンマ数%であったかもしれない。私たちの文化遺産の大部分は死蔵されて、後世の人々の目に触れないままなのである。
 つまり、現在の日本人は、明治以降に出版された活字本しか読んだことがない、というのが実態である。
それ以前の和書や写本に触れたことがある人は、きわめて少数である。

 電子書籍という画期的な読書ツールが出来たのを機会に、ぜひ、和書、写本を電子書籍として閲覧可能なものにしてほしい。
 そして、それは難しいことではない。実は、各図書館に架蔵されている和本は、以前から、「デジタル・コンテンツ」化されているのである。日本の大学図書館や国会図書館、公文書館などのホームページにアクセスすればかなりの文献がデジタル化されている。
それを電子書籍として、端末からアクセス可能な状態にすればいいだけである。

 藤原定家さんが書写した古今和歌集や、江戸の大田南畝さんの戯作や、あの楽しい黄表紙本などが、ワンクリックでダウンロードして、このi-pad で読める、眺めることが出来るとしたら、なんと嬉しいことだろう。

 たしかに「へんたい仮名」や崩し文字をすらすら読めるようになるには学習が必要だけれど、活字で読むことの味気無さが、本当に実感できるだろう。
  私たちが培ってきた日本語の文化、というものが、今あらためて明らかになると思うのです。
# by zo-shigaya | 2010-12-24 13:09

キャラバンは進む

《犬は吠える、がキャラバンは進む》

「あれはたしか1950年か51年の春だったと思う、・・・2月の暖かい日であった。シチリアでは春の盛りであった、私はひじょうに年をとったある人と話をしていた。その人はモンゴル系の顔に黒いビロードのポルサリー丿をかぶり、アーモンドの花の香りに満ちた季節であるにもかかわらず厚い黒いケープをはおっていた。その老人はアンドレ・ジッドであった、2人は護岸に腰をおろし、揺れ動く青い炎のような古代の海を見おろしていた。
(・・・郵便配達人が手紙を手渡して行ったがその中に私への悪意をこめた批評文を同封したものがあった)
 その批評について、また批評精神一般の不健全性について、私が文句を言うのを聞き終わると、フランスの大文豪は背を丸め、肩を落とし、まるで賢明な老いたる・・・禿鷹のように、と言っていいだろうか?・・・そんな顔つきで言った、「ま、いいじゃないか。アラブにこういう諺がある、覚えておくんだな。《犬は吠える、がキャラバンは進む》」

 トルーマン・カポーテイ 『犬は吠える』(「ローカルカラー」所収)

 メデア・ファシズムの嵐の中で精神の安定を得るためのおまじない。
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# by zo-shigaya | 2010-06-10 10:56

男もすなる○○を

 しかしここまで言うか
 女優の秋吉久美子が早稲田大学大学院で修士号を取得、20日学位授与式に出席。式後、記者に感想を聞かれて「大きな社会の本流を教わった。ふんどしを締め直して本業もしっかりやりたい」とうれしそうに語ったそうだ。(9月22日日経新聞コラム『窓』)
 
女相撲でもあるまいし、そんなセリフがあるかよ、という感じ。
記事には学位記を手にしている写真も付いているが、普通のスーツ姿だ。
ちなみに修士論文のテーマは神社仏閣と地域活性化についてまとめたものだそうだ。

 これからは、男は、「腰巻きを巻き直して頑張ります」と言うか。
# by zo-shigaya | 2009-09-24 11:03