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ん、誰か呼んだ?


by zo-shigaya

小沢一郎氏に望むこと

11月13日
 民主党の小沢党首が辞意撤回をして続投をすることにしたのは日本の政党政治にとって嘉すべきことだ。
 メデアは喧しく裏の事情をさぐっている。裏にはいろいろな経緯があるのだろう。その事の真相はいずれ明らかになるとして、それ自体、大した問題ではない。
 また政策協議も悪いことではない。法案の内容についての歩み寄りや擦りあわせは、どこの政党同士であってもやって悪いことではない。必要なら、自民党と共産党が政策協議をしても不思議ではないし、多いにやったらいい。それが議会政治だ。

 問題は、小沢党首が、なぜ、一気に「連立政権」に進む「気分」になってしまったのか、ということだ。
 小沢氏は11月4日の辞意表明会見では「民主党はいまださまざまな面で力量が不足しており、国民からも「自民党はダメだが、民主党も本当に政権担当能力があるのか」と疑問が提起され続け、次期総選挙の勝利は大変厳しい情勢になると考えている。」と述べていた。
 11月7日の辞任撤回の会見の中でも、衆議院の勝利については楽観してはいられない、小選挙区で前回の三倍の議席を勝つことが絶対条件だ、この厳しい現実を直視しないで、参院選勝利の「勢いだけで勝てるほど甘くない」と述べている。

 この強い不安が、小沢氏をして、今回の「連立」の話に飛び付かせたものだろう。この厳しい選挙情勢の手応えと確信は、どこから生まれたかといえば、ここ1ヶ月くらいの小沢氏の動静を報じる新聞記事から推察するに、恐らく地方回りをした感触から生まれたのだろう。
 小沢氏が地方回りをして会っているのは、新聞の記事で見れば、ほとんど「連合」の幹部たちだ。彼らからどんな分析が出たか、詳しく報告されたものはないが、おおよそ内容は推測がつく。
 いわく〃民主党の組織は弱体だ、党員数も少ない、地方議員も少ない、足腰が弱い、選挙の時は連合頼みだ、議員や候補者の活動が見えてこない、エトセトラ、エトセトラ 〃 
 これが小沢氏をして、次の選挙では民主党はまだ勝てない、という悲観的気分に落し入れた、と私は見る。そしてこの分析に依存していることが、小沢氏のアキレス腱なのだ。「連合」依存意識が不安の源泉である。

 「連合」はたしかに民主党の最大の支援組織ではあろう。しかし、一歩地域と現場に足を踏み込んで、現在の日本社会の中での機能を眺めてみればよい。現在の「連合」は企業内組織であってそれ以上のものではない。市民社会の中にネットワークを持っている組織ではない。
 地方の「連合」の幹部諸君が、どの程度、地域のムードを読めているのか。
 彼らは地域全体の民意を示すバロメーターでもなければ、十分な民意のセンサーでもない。フリーター、派遣社員の大量出現という社会問題に対しての関わりを見れば、その事は歴然たる事実だ。
 その組織の幹部を回って歩いた感触で、今現在、日本の社会に流れる「空気」を判断しようとしたところに、小沢氏の致命的な誤りがあった。
 これで不安になり、焦りにかられて、一気に急襲して天下を取るしか術は無し、という気持ちになって「大連立」という甘言に乗せられた。

 小沢氏は、この時点で残念ながら「KY」であった。空気が読めていない、情勢分析の対象が間違っているのだ。
 ここで苛立たないで、「連合」の分析が当たっているのかどうか、を別のセンサーから分析すれば良かったのだ。それは他でもない、全国で「朝立ち、夕立ち」している自党の議員、候補者からの情勢報告である。
 そうすれば、民意は「連合」の分析とは違う形をしていることが見えてきたに違いない。ましてや読売新聞の論説のようなわけでもない、と言うことが。

 その輝かしい政治歴から小沢氏には「勇将のもとに、弱卒ばかり」という、すこしひがんだ感情があるのではないか。今回の辞意撤回を機に、そんなケチな思いは男らしく棄てて、天下堂々、自ら率いる民主党の同志に五尺の赤き肉塊すべてを委ねる、という捨て身の心境になられることを、期待するものだ。
by zo-shigaya | 2007-11-13 16:42 | 近時片々