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ん、誰か呼んだ?


by zo-shigaya

暴挙

今回の小泉の解散を、判りやすい決断、という人がいる。
とんでもない暴論である。
衆議院は5票差で法案は通ったものの、参議院で否決された。
参議院で否決された法律案を通すためには、衆議院に再度付議して、出席議員の3分の2以上の多数を得て再び可決しなければ、法律にはならない。(憲法59条2項)
 小泉は解散総選挙のアジで、自民・公明が過半数を取れば、と言った。ウソをつけ、3分の2をとれば、だ。
 解散前の総議席数が477、その3分の2とすれば318人である。
 318人、この数字は可能か。
 解散前の議席数は、自民249、公明34合計283である。
すでに、35人足りない。そのうち造反した議員が37人いるから、この37人を皆ブチ落して、さらに35人を増やさなければならない。
 合計72人の「小泉」議員を増やさなければ、3分の2にはならないのだ。
 誰も確実な数字を上げることはできないが、現在の情勢から自民党は議員数で第一党を確保することさえ難しいと言われている。
 例えば、宮川隆義の予想では自民182公明39、合計221と出ている。
 どの予想にも誤差はつきものだが、プラスの方に100も出る、ということはありえない。
 9月11日の選挙で小泉派が大勝し、同じ法案が再度上程され、衆議院で3分の2の多数で可決採決される、という可能性は、この程度のものだ。
 このような情勢分析で税金を使った解散総選挙を行なう小泉は、神風を信じて対米開戦をした日本軍部と同じようなものだ。

 仮に、小泉が念願するように自民・公明で過半数を取り、「新・郵政民営化法案」が新規に提出されるとすれば、その内容は大幅に改正変更されたものでなければなるまい。大幅な改正変更が無いままに、過半数の賛成で衆議院を通過しても、参議院では再度否決になるだろう。同じ議員が、同じ問題について、大した時間もおかないで、賛否の判断を変える事が起きるはずがないと考えるのが常識的判断であるから。
 そんなに大幅に変更する余地があるとすれば、次期国会に改めて提出すればよいことで、やはり衆議院を解散する理由はなくなる。

 小泉をこのような暴挙に走らせるには、彼には、衆議院で過半数を取ったという戦果を突きつけて、反対した参議院議員一同を恐怖させ、意見を変えさせることが出来る、という妄念があるからだろう。
 しかし、このやり口は、南米諸国か、あるいはかってのギリシャで行われたような恐怖政治、独裁政治国家のものと大して変わらないではないか。
 それが出来る、と小泉本人が妄想として考えることは、カラスの勝手だが、なぜ、日本の報道機関はこの暴挙を糾弾しないのか。学者、評論家はなぜ手続き論だけを語って、議会制民主主義の基本的ルール違反を語らないのか。
 事態は最早、ポピュリズムからファシズムに進行しているではないか。
 自由主義国家を守らねばならないときだ。
by zo-shigaya | 2005-08-12 19:07