ん、誰か呼んだ?


by zo-shigaya

台風一過

 8月21日台風一過のきれいな青空に恵まれた朝、7時に起きて庭やら台所の片づけをする。8時半に、お祭りのしめ縄をくぐって、車で○田に行き、ロータリーの会議に出る。
 お昼に会社に帰ってきてメールを見たら「村上龍のメルマガ」に国連職員の春(はる) 具(えれ)さんという方ののレターが乗っていた。(1948年東京生まれ。国際基督教大学院、ニューヨーク大学ロースクール出身。行政学修士、法学修士。1978年より国際連合事務局(ニューヨーク、ジュネーブ)勤務。2000年1月より化学兵器禁止機関(OPCW)にて訓練人材開発部長。現在オランダのハーグに在住)

 同時通訳者としての必須条件をいろいろあげて、次のような事例を述べている。

 「わたくしの同僚にスペインの通訳がおりますが、彼女は英仏語はもちろん、ラテン語、ギリシャ語にも通  
 じ、かつ、なかなかの日本びいきでもあって、拙宅にやってきて鯛めしを食するのを無上の喜びとしている 
 女性である。日本文学に知識も半端ではありません。源氏、近松、太宰なんかもきちんとかじっている。こ
 の間、ハーグに金春流のお能の一座が興行に来て、「葵上」を上演していったのですが(わたくしども
 はこの日ハーグを留守にしていて、この舞台を逃した)、観てきた彼女が感想を話しにきてくれました。

  が、そこからどういうふうに話が飛んだのだったか、隠居後の西行の話になり、はずみで江口の里の話に 
 なった。

  江口の里の話はご存知であろうが、出家したあとの西行が、旅の途中で雨にあい、江口の遊女の軒を借り 
 ようとするときの話であります。雨宿りを所望する西行を、遊女が断る。それに対して、西行は:

  世の中を厭ふまでこそ難(かた)からめ 仮のやどりを惜しむ君かな

 と歌を詠む。遊女はそれに:

  家を出づる人とし聞けば仮の宿に 心とむなと思ふばかりぞ

 という歌を返す。つまり、ちょっと雨宿りに軒を借りようというのに惜しむのはつれないねえと詠んだの 
 に、遊女が出家した方ならば仮の宿に執着されるはずはないと思ってお断りしたのですと答えた、あの話で 
 あります。

  あの話はいいねえということになったのですが、これ以上説明することなく、こういう機微が理解できる 
 ひとが、優れた同時通訳としても成功するのではないか、と私は考えるのであります。」

 話しの中で実際にそらで和歌を引いたりしたわけではなかろうが、たいしたものだ。こういう人はギリシャ悲劇などにも通暁していて、同じように話しが通じるのだろうな。同じ日本人同士で、西行や江口の君が通じる人を探すのが難しいこの頃だ、晩夏の静かな青空にふさわしい、いい話だ。
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by zo-shigaya | 2004-08-21 13:44